ピラティスインストラクターを目指して勉強したいと考えても、「どこから始めればいいのか分からない」「効果的な学習方法を知りたい」と感じる方も多いのではないでしょうか。ピラティスは、解剖学や生理学の理論と実技を組み合わせながら学ぶことで、より深く理解できるようになります。
 
書籍や動画を活用して基礎知識を身につける方法もあれば、実際にレッスンを受けながら学ぶ方法もあります。学び方はさまざまですが、目的に合った方法を選び、計画的に学習を進めることが大切です。また、体系的に学びたい場合は、資格取得を視野に入れることで、より確実に知識と技術を身につけることができます。
 
この記事では、ピラティスを勉強する方法や、効果的な学習のポイントを詳しく解説します。初心者からインストラクターを目指す方まで役立つ情報を紹介するので、自分に合った学習方法を見つける参考にしてください。

ピラティスを勉強したい!目的に合ったゴール設定をしよう

ピラティスを勉強する際、自分の目的に合ったゴール設定をすることが非常に重要です。目的が明確であれば、学習過程がより効果的になり、モチベーションを維持しやすくなります。まずは、自分が「ピラティスを学ぶ理由」を明確にすることから始めましょう。

健康や体力向上を目指す場合

健康や体力向上が目的であれば、ピラティスの基本的な動作や体幹トレーニングに注力しましょう。この場合、まずはマットピラティスを学ぶことが効果的です。ピラティスの基本的なポーズや呼吸法を習得し、柔軟性や姿勢改善を目指します。

インストラクターを目指す場合

ピラティスをインストラクターとして教えることを目指す場合は、より深い解剖学や指導法の知識が求められます。そのため、資格取得のためのカリキュラムを選ぶことが重要です。資格を取得後、指導力を高めるために実技練習やレッスン経験を積むことを目指しましょう。

リハビリや特別なニーズに対応する場合

リハビリや体調管理を目的にピラティスを学ぶ場合は、解剖学や個別対応のスキルを磨くことが重要です。専門的な知識やアプローチを学ぶことで、より幅広いニーズに応えられる指導が可能になります。
 
目的に応じてゴール設定を行い、計画的に学習を進めることが、ピラティス学習の成功のカギとなります。

ピラティスインストラクターに必要な知識やスキル

ピラティスインストラクターになるためには、豊富な知識と実践的なスキルが求められます。特に、クライアントに安全で効果的な指導を行うためには、解剖学や生理学の基礎知識が不可欠です。これにより、人体の仕組みを理解し、ポーズや動作の正しいフォームを指導することができます。

解剖学と生理学の知識

ピラティスは、筋肉や骨格にアプローチするエクササイズです。そのため、筋肉の動きや関節の可動域を理解し、適切な指導を行うために、解剖学と生理学の基礎的な知識が必要です。特に、体幹や背骨の動きに関する知識は、インストラクターとしての必須スキルです。

ピラティスの技術と指導法

ピラティスインストラクターには、実際の指導技術も求められます。マットピラティスやマシンを使ったエクササイズの正しいフォームと動作を指導できる能力が必要です。また、クライアントに合わせた個別の指導ができるよう、柔軟性や強度の調整方法を理解することが大切です。

コミュニケーション能力

ピラティスインストラクターとして成功するためには、クライアントとの良好なコミュニケーションが不可欠です。ポーズや動作を分かりやすく伝えるスキル、また、クライアントのニーズに応じたアドバイスを行う能力が重要です。
 
ピラティスインストラクターとして活躍するためには、知識だけでなく、実技とコミュニケーション能力の両方を兼ね備えたスキルが求められます。

ピラティスを勉強する方法

ここまではピラティスインストラクターの仕事や必要な知識・スキルについて紹介しました。続いて本項では、具体的にピラティスインストラクターに必要な知識・スキルをどうやって身に付けられるのかについて解説します。
 
ピラティスインストラクターに関する勉強の方法には主に、
 

  • ●書籍や教材をで学ぶ
  • ●動画やオンライン講座で学ぶ
  • ●自らピラティスのレッスンを受ける
  • ●ピラティスのインストラクター資格を取得する

 
以上の4つがあります。それぞれについて以下で詳しく解説します。

書籍や教材で学ぶ

ピラティスに関する理論的な知識を体系的に学ぶには、書籍や教材を活用するのが効果的です。
 
ピラティスの理論や実践方法を深く理解できるため、初心者からインストラクターを目指す方まで幅広く役立ちます。書籍を使えば、自分のペースで基礎知識を学ぶことができ、身体の構造やエクササイズの意図をしっかりと把握できます。
 
書籍の中には解剖学的な視点からピラティスを解説したものや、具体的なエクササイズの方法を写真やイラスト付きで紹介しているものもあります。特に、著名なピラティス指導者による書籍は、指導経験に基づいた実践的な内容が学べるため、初心者にも分かりやすいです。
 
以下で特におすすめの書籍を4冊紹介します。

ジョセフ・H・ピラティス著「コントロロジー ピラティスメソッドの原点」

この書籍は、ピラティスの創始者であるジョセフ・H・ピラティス自身が執筆したもので、ピラティスの理論と哲学が詳しく解説されています。ピラティスが本来、身体をどのように動かすべきかを考え抜いて生み出したエクササイズが写真付きで紹介されており、原点を学びたい方におすすめです。
 
本書では、コントロール(Contrology)という概念を中心に、ピラティスの目的や実践方法が述べられています。特に、呼吸法や正しい姿勢の重要性について詳しく書かれており、ピラティスを深く理解する上で欠かせない内容です。初心者には少し専門的な部分もありますが、ピラティスインストラクターを目指す方や理論をしっかり学びたい方には必読の書籍といえます。
参考:コントロロジー ピラティスメソッドの原点(ジョセフ・H・ピラティス著)

竹井仁著「正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書」

「正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書」は、姿勢の改善に焦点を当てた内容でピラティスの基本となる「正しい姿勢」を学ぶのに最適です。竹井仁氏は理学療法士としても著名であり、解剖学的な視点から姿勢の仕組みや改善方法を詳しく解説しています。
 
ピラティスでは、骨格や筋肉のバランスを整えることが重要ですが、本書では具体的な姿勢のタイプや、それぞれに適したエクササイズが紹介されています。実際の動作の写真やイラストが多く使われており、視覚的にも分かりやすいです。ピラティスの基礎を学びつつ、日常生活の中で意識すべきポイントも理解できるため、初心者にもおすすめの一冊です。
参考:正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書(竹井仁著)

プロフェッショナルピラーティス(アラン・ハードマン著)

ピラティスをより深く学びたい中級者や、指導者を目指す方、すでにピラティスインストラクターとして活動している方におすすめの書籍です。ピラティスの基本から専門的な知識まで幅広く学べる内容となっており、スキルアップを目指す方にも役立ちます。
 
本書では、ピラティスの基礎理論に加え、エクササイズで使う筋肉の動かし方や正しいフォームを解説。解剖学や生理学の視点から安全にレッスンを行うための知識が身につきます。また、プレピラティスエクササイズやジョセフ・ピラティス氏の34のオリジナルエクササイズについても、写真付きで詳しく紹介されています。さらに、骨粗鬆症や妊娠中の方への禁忌事項など、指導時に注意すべきポイントが網羅されている点も特徴的です。
参考:プロフェッショナルピラーティス(アラン・ハードマン著)

「フランクリンメソッド骨盤力エクササイズ」(モートン・ディスマー、ディスマーゆかり共著、エリック・フランクリン監修)

本書は、骨盤の構造や動きの仕組みを深く理解し、正しい使い方を身につけるための実践的な内容が詰まっています。写真やイラストを豊富に用いながら、骨盤と呼吸の関係、生体力学や機能解剖学に基づいたエクササイズを分かりやすく解説しており、初心者にも読みやすい一冊です。
 
特にフランクリンメソッドを用いた骨盤のエクササイズを詳しく紹介しており、ピラティスにおける骨盤の動きや安定性を学ぶのに適しています。フランクリンメソッドは、身体の動きをより効果的にするためのビジュアライゼーション(イメージを活用する方法)を取り入れているのが特徴です。
 
ピラティスを実践する人だけでなく、ヨガやダンス、スポーツ、リハビリの分野にも応用できるため、幅広い層におすすめの書籍です。
参考:フランクリンメソッド骨盤力エクササイズ(モートン・ディスマー、ディスマーゆかり共著、エリック・フランクリン監修)

動画やオンライン講座で学ぶ

ピラティスを学ぶ方法として、動画やオンライン講座を活用するのも効果的です。近年では、YouTubeやオンラインスクールを通じて、初心者向けの基礎解説からインストラクター向けの専門講座まで、幅広いコンテンツが提供されています。
 
動画学習のメリットは、視覚的に動きを確認できることです。書籍では分かりにくい細かい動作や呼吸のタイミングを、実際の動きを見ながら理解できます。また、オンライン講座では、体系的なカリキュラムが組まれていることが多く、段階的にスキルを習得できる点が魅力です。アーカイブ機能がある講座を選べば、繰り返し復習することも可能です。
 
ただし、動画学習だけでは細かいフォームの修正が難しいため、実際のレッスンと併用しながら学ぶのがおすすめです。オンライン講座を活用する際は、講師の指導実績やカリキュラムの内容を事前に確認し、自分の目的に合ったものを選ぶとよいでしょう。

自らピラティスのレッスンを受ける

ピラティスインストラクターとしての理解を深めるためには、自分自身が指導を受ける経験が欠かせません。
 
実際のレッスンを体験することで、指導者として必要なスキルやレッスンの流れを学べます。また、受講者の視点を理解することでお客様により効果的なレッスンを提供するためのヒントを得られます。
 
加えて、実際の指導を受けることでインストラクターとしての表現力や伝え方を学べます。特に、指導経験のあるインストラクターのレッスンに参加すると、声のかけ方やお客様へのアジャスト方法など、指導技術の実践的な部分を学ぶことが可能です。
 
また、異なる指導スタイルを体験することで、自分に合った指導方法を確立するヒントを獲得できます。さまざまなインストラクターの指導を受け、比較しながら学ぶことで、指導者としての幅を広げられるでしょう。

ピラティスのインストラクター資格を取得する

ピラティスを体系的に学び、インストラクターに必要な知識・スキルを網羅的に身に付けるには、資格を取得することが有効です。
 
資格取得の過程では、ピラティスの基本原則や解剖学、生理学を学びながら、実技指導のスキルを磨くことができます。これにより、ピラティスの理論と実践の両面を深く理解し、効果的な指導ができるようになります。
 
資格にはマットピラティス資格やマシンピラティス資格、両方を合わせたコンプリヘンシブ資格など種類ごとに異なるカリキュラムが用意されており、それぞれの目的に応じた学習が可能です。
 
また、PMA(Pilates Method Alliance)加盟団体の資格など、国際的に認定された資格を取得すると、スタジオやフィットネス業界での就職が有利になるケースがあります。認知度の高い資格を持っていることで、採用の際に技術や知識の証明となり、キャリアの選択肢を広げられます。
 
さらに、資格取得の過程では、実技試験や指導実習を通じて、実践的な経験を積む機会が得られることも特徴の一つです。理論だけでなく、実際の指導方法を学ぶことで、より効果的にピラティスを理解し、応用する力を身に付けられます。
 
具体的なおすすめの資格については、下記記事でご紹介していますのでご覧ください。
 
※※「ピラティスインストラクター なるには」の記事リンク貼る※※

ピラティスを勉強する際のポイント

続いて、本項ではピラティスを勉強する際のポイントについて解説します。

具体的なピラティスの勉強のポイントは以下の3つです。
 

  • ●理論と実技を組み合わせて学ぶ
  • ●計画的に学習を進めるためのスケジュールを作成する
  • ●インストラクターとして必要なスキルも学ぶ

理論と実技を組み合わせて学ぶ

ピラティスを学ぶ際には、理論と実技の両方をバランスよく習得することが不可欠です。どちらか片方だけを学ぶのでは、インストラクターとして十分な指導ができません。理論だけを学んでも、実際の動作を正しく理解できず、適切な指導が難しくなります。逆に、実技だけを学んでも、動きの原理や体の仕組みを知らなければ、エクササイズの本質を理解することができません。
 
理論面では、解剖学や生理学を学び、ピラティスの動きがどの筋肉にどのような影響を与えるのかを理解することが重要です。例えば、体幹を鍛える動作において、どの筋肉がどのように働いているのかを把握していれば、お客様のフォームの乱れを正確に指摘し、効果的な修正ができるようになります。
 
一方、実技では、正しいフォームや呼吸法を体感しながら学ぶことで、理論だけでは理解しにくい動きの感覚を身につけることができます。また、インストラクターとして指導する際には、実際に自分の身体を動かしながら説明することが求められるため、実技の経験が不足していると、説得力のある指導ができません。

計画的に学習を進めるためのスケジュールを作成する

ピラティスを効果的に学ぶためには、計画的に学習を進めることが重要です。特に、マットピラティスを中心に学びたいのか、マシンピラティスも含めて深く学びたいのかによって、学習内容やスケジュールの組み方が変わります。
 
マットピラティスを学ぶ場合、基礎的な動作や呼吸法、体幹の使い方を重点的に学ぶことが大切です。初心者は、まず基本的なエクササイズを習得し、徐々に応用動作へ進む流れが理想的です。学習スケジュールを立てる際には、週に数回の実技練習と並行して、解剖学や生理学の知識を深める時間を確保すると、より効果的に学べます。
 
一方、マシンピラティスも学ぶ場合、マットピラティスの基礎を身につけた上で、リフォーマーやキャデラックなどの機器の使い方や負荷の調整方法を学ぶ必要があります。マシンピラティスは実技中心の学習が不可欠なため、スケジュールには定期的なスタジオレッスンや実践的なトレーニングを組み込むことが重要です。
 
どちらを学ぶ場合でも、計画的に学習を進めることで、知識と実技を効率よく習得できます。目標を明確にし、日々の学習内容を整理することで、ピラティスの理解を深め、継続しやすくなります。

インストラクターとして必要なスキルも学ぶ

ピラティスを学ぶ際には、エクササイズの知識や技術だけでなく、インストラクターとして指導するために必要なスキルも身につけることが重要です。単に動作を正しく行えるだけではなく、お客様に分かりやすく伝え、適切にサポートできる力が求められます。
 
まず、指導スキルが必要です。お客様のレベルに合わせた説明を行い、専門用語ばかりを使わず、初心者でも理解しやすい言葉を選ぶことが大切です。また、動作を正しく伝えるために、自身が模範となる動きを見せるデモンストレーション能力も必要になります。
 
次に、観察力と修正力も欠かせません。お客様の動きをよく観察し、フォームの乱れや誤った姿勢に気づくことが重要です。そして、適切なタイミングで具体的なアドバイスを行い、必要に応じて動作を修正できるスキルを磨くことが求められます。
 
さらに、コミュニケーション能力も重要です。ただエクササイズを指導するだけでなく、お客様が継続しやすい環境を作るために、信頼関係を築くことが大切です。声のかけ方やモチベーションの引き出し方を工夫することで、より質の高いレッスンにつながります。
 
インストラクターとして活躍するためには、知識や技術だけでなく、これらのスキルを意識的に学び、実践を通じて磨いていくことが不可欠です。

ピラティスの勉強方法に関するよくある質問

ピラティスを勉強するのに必要な時間はどれくらい?

ピラティスの勉強にかかる時間は、目的や習得レベルによって異なります。
 
趣味や自宅トレーニングのために学ぶ場合は、基本的な動きと呼吸法を学ぶだけなら、数週間〜1ヶ月程度で十分です。その際はYouTubeやオンライン講座を活用すると効率的です。
 
インストラクター資格を取得する場合は、基礎知識から解剖学、指導法まで体系的に学ぶ必要があり、3ヶ月〜1年ほどかかるのが一般的です。
 
さらに国際資格や高度なスキルを習得する場合は、1〜2年以上かけて継続的に学習し、指導経験を積む必要があります。
 
自身の目的に合わせた学習目標・プランを立てることが重要です。

ピラティスは独学で勉強できる?

ピラティスは基礎的な動きや呼吸法であれば独学でも可能ですが、正しいフォームや姿勢を維持するには指導者のアドバイスが重要です。
 
独学で学ぶのに向いている内容は、基本的な呼吸法や簡単なストレッチ動作、自宅でのマットピラティスの実践などが挙げられます。
 
一方で独学で学ぶのが難しい内容は、骨盤や背骨の細かな動きのコントロールや器具を使用するリフォーマーピラティスなどが挙げられます。
 
独学で勉強を始める場合は、オンラインレッスンや動画教材を活用し、定期的にプロのレッスンを受けてフォームをチェックするのが良いでしょう。

ピラティスとヨガの勉強はどう違う?

ピラティスとヨガはアプローチや学習内容が異なるため、勉強法にも違いがあります。
 
ピラティスは解剖学と姿勢評価を重視し、理論と実技を並行して学ぶスタイルです。資格取得には長期間の学習が必要で、マシン操作や指導法も習得します。
 
一方、ヨガは哲学や呼吸法を含めた精神面の学習が特徴的であり、座学と実践が分けて行われることが多いです。資格は短期間で取得できるものもあり、ポーズの完成度や指導法が重視されます。

まとめ

ピラティスを勉強する際は、理論と実技の両方をバランスよく学ぶことが大切です。解剖学や生理学の知識を深めることで、エクササイズの効果を理解しやすくなります。また、書籍や講座を活用しながら計画的に学習を進めると、知識と技術を効率よく習得できます。
 
初心者や未経験者でも、基本的な動作や呼吸法を学びながら実践を重ねることで、少しずつ理解を深められます。実際の指導を受けることで、フォームの細かい違いや身体の使い方を学ぶ機会が増え、より正確にピラティスを身につけられます。
 
ピラティスを体系的に学び、指導の幅を広げたい場合は資格取得を視野に入れるのも一つの方法です。資格取得を通じて基礎から応用まで体系的に学ぶことができ、より深い知識と実践力を身につけられます。目的に合った資格を選び計画的に学習を進めることで、ピラティスの理解をさらに深められます。

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